蟹工船に見るファンサービスとカテゴリ強化の在り方

「おい地獄さ行ぐんだで!」
 決闘者はデッキのトップに寄りかかって、蝸牛が背のびをしたように延びて、死に札を抱え込んでいる手札の行く末を見ていた。――決闘者は指元まで吸いつくしたギミック・パペットーネクロ・ドールをギミック・パペットービスク・ドールと一緒に捨てた。ギミック・パペットーネクロ・ドールはおどけたように、色々にひっくりかえって、墓地へとすれずれに落ちて行った。決闘者は身体一杯負け臭かった。
 一つの翼を巾広く浮かばしているギミック・パペットーヘブンズ・ストリングスや、特殊勝利カードらしく構築段階から採用カードをグイと引張られてでもいるように、思いッ切りモンスターゾーンに傾いている、黄色い、ギミック・パペットーデステニー・レオ、大きな裁断機のようなギミック・パペットージャイアントキラー、南京虫のように相手モンスターと相手モンスターの間をせわしく縫ってエクシーズ素材とするギミック・パペットーギガンテス・ドール、寒々とざわめいているラッシュデュエルや2020.4.1適用マスタールールによるルール改定で何か特別な織物のようなギミック・パペットーキメラ・ドール……。ドローの工合で手札が相手フィールドとすれずれになびいて、ムッとする手札誘発の匂いを送った。決闘者のガラガラという諦めが、時々手札事故を伝って直接じかに響いてきた。
 このギミック・パペットのすぐ手前に、ペンキの剥げた先史遺産が、先史遺産-超機関フォーク=ヒュークの効果ようなところから、先史遺産-超兵器マシュ=マックのバーンダメージを下していた、フィールドを、先史遺産ネブラ・ディスクをくわえた決闘者が同じところを何度も機械人形のように、ソリティアしているのが見えた。同期のデッキらしかった。たしかにⅣの「ギミック・パペット」に対する先史遺産だった。
「俺もう一文も無え。――糞。こら」
 そう云って、身体をずらして寄こした。そしてもう一人の決闘者の手を握って、自分の腰のところへ持って行った。袢天の下のコールテンのズボンのポケットに押しあてた。何か小さい箱らしかった。
 一人は黙って、その決闘者の顔をみた。
「ヒヒヒヒ……」と笑って、「遊戯王よ」と云った。
 カラクリデッキで、「カラクリ大将軍無零怒」のような恰好をした決闘者が、ブラブラしながらエナジードリンクをのんでいる。はき出すカラクリ大権現無零武がカラクリ法師九七六参からすぐカラクリ蝦蟇四六弐四にかけて、強化に富んだ。底に木を打ったようなギミック・パペットーテラー・ベビーをひきずッて、傀儡葬儀ーパペット・パレードをさげた決闘者が急がしく「おもて」の決闘場を出入した。――用意はすっかり出来て、もう決闘にいいばかりになっていた。

 

-続くかもしれない-

 

参考画像


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最強カード?その1。どうしてサイドラ効果ではないのか。

 

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最強カード?その2。せめて機械族エクシーズ限定素材となってくれていれば。あと、このカードで封入操作しようと決めたやつは度胸の塊だと思う。

 

ps:『蟹工船』は小林多喜二によるプロレタリア文学を代表する小説である。高校入試の社会では主に大正デモクラシーの知識を問う問題として、また、大学入試の現代文では文学史として頻出であるので是非覚えていただきたい。なお、そのような方々はここへは来るべきではない。