羅生門に見る制限改定と満足民の在り方

   ある日の暮方の事である。一人の満足民が、リミットレギュレーションの下で三月の制限改訂を待っていた。
 広いカードプールの下には、この男のほかに誰もいない。ただ、所々丹塗の剥げた、大きな円柱に、インフェルニティ・ビートルが一匹とまっている。満足が、リンク軸にある以上は、この男のほかにも、雨やみをするシンクロ軸やエクシーズ軸が、もう二三人はありそうなものである。それが、この男のほかには誰もいない。
 何故かと云うと、この数ヶ月、満足民には、ファイアウォール・ドラゴン禁止とかトロイメア・ゴブリン禁止とかグローアップ・バルブ禁止とかサモン・ソーサレス禁止とか云う災がつづいて起った。そこで環境テーマのさびれ方は一通りではない。旧記によると、マスマティシャンやハリファイバーを打砕いて、その制限がついたり、準制限の箔がついたりした紙を、買取レジにつみ重ねて、カードショップに売っていたと云う事である。環境テーマがその始末であるから、満足の修理などは、元より誰も捨てて顧る者がなかった。するとその荒れ果てたのをよい事にして、陽気な葬儀屋が棲む。甲虫装機ピコファレーナが棲む。とうとうしまいには、引取り手のないループパーツを、この満足へ持って来て、棄てて行くと云う習慣さえ出来た。そこで、日の目が見えなくなると、誰でもソリティアに気味を悪るがって、この満足の近所へは足ぶみをしない事になってしまったのである。
 その代りまた彼岸の旅人ダンテがどこからか、たくさん集って来た。昼間見ると、そのダンテが何羽となく輪を描いて、高い鴟尾のまわりを永遠の淑女ベアトリーチェになりながら、飛びまわっている。ことに彼岸の上の空が、夕焼けであかくなる時には、それが彼岸の巡礼者ダンテをまいたようにはっきり見えた。彼岸は、勿論、門の上にある死人の満足を、啄に来るのである。――もっとも今日は、彼岸を持ってしても環境スピードから遅いせいか、一羽も見えない。ただ、所々、崩れかかった、そうしてその崩れ目に長い草はえたエクストラモンスターゾーンの上に、彼岸の黒天使ケルビーニのリンクマーカーが、点々と右下左下にこびりついているのが見える。満足民は上下段あるセキュリティ・ドラゴンのリンクマーカーの一番上の段に、洗いざらしたトロイメア・マーメイドの尻を据えて、右の頬に出来た、メインモンスターカードゾーン気にしながら、ぼんやり、リミットレギュレーションを眺めていた。
 

-続くかもしれない-

 

参考画像

 

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最強カードその1。なんか手札が凄く減る。派手に強い。

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最強カードその2。インフェルニティ・ビートル一枚から手札に好きなカードを持ってくることができる。当然強い。